七物降下湯(シチモツコウカトウ)の効果と副作用を解説。更年期の改善におすすめ
漢方は体質を改善しながらその症状を緩和していく効果がありますが、七物降下湯というものはご存じでしょうか?
七物降下湯とは血圧に作用する漢方ですが、更年期の症状の緩和にも効果を発揮します。
そこで今回は七物降下湯について紹介していきます。
七物降下湯の基礎知識
七物降下湯とは、7つの生薬「七物」を含み、血圧降下の作用「降下」があることから、この2つを組み合わせて七物降下湯と呼ばれいて、戦国時代に日本で生まれた漢方です。
高血圧に伴う、めまい、ほてりの症状を緩和するのに優れていて、体力が低下していて、冷え性を伴っている方に効果を発揮する漢方です。
七物降下湯には、血の改善効果があり、滋養作用、抗炎症作用、血管拡張の循環改善作用があるので、これらが総合的に血圧に対して効果があります。
通常成人は1日7.5gを2回~3回に分けて、食前または食間に服用します。服用する量は年齢や体重、症状によって異なるので、医師の指示に従って下さい。
七物降下湯は更年期に効果あり!
実は七物降下湯は、更年期に効果を発揮すると言われています。
そもそも更年期とは、女性の卵巣機能の低下から、女性ホルモンの分泌量が減少して閉経していく期間のことをいい、40代半から50代半ばあたりまでを指し、体に様々な不調が起こります。
漢方ではこの閉経を迎える期間になると、生命の源である「腎」の精が不足し、それに伴いち血を貯める「肝」が弱るため、めまい、動悸、不眠、イライラを引きこすと考えられています。
そこで七物降下湯が効果を発揮します。七物降下湯には、気や血の巡りを改善する効果があり、更年期の「頭痛」「高血圧」「ほてり」や「ホットフラッシュ」に効果があります。
さらに七物降下湯には気や血の巡りを良くするために、自律神経を調整したり、抗ストレス作用もあるので、この点から精神を安定させ、更年期のイライラや落ち込みやすい気分にも効果があることがわかります。
七物降下湯に配合されている生薬は?
ここでは七物降下湯に配合されている生薬とその効果について書いておきます。
血の巡りをよくしたり、補血する効果があるものが配合されています。
①芍薬(しゃくやく)
ボタン科のシャクヤクの根を乾燥したもので、鎮痛、鎮痙、収斂、緩和作用に効果があります。筋肉の痙攣を緩和させる作用、血管の働きを順調にする働きがあり、生理不順や月経異常、冷え性に効果を発揮します。
②当帰(トウキ)
セリ科トウキ属植物の根を乾燥させたもので、血の循環を活性化する作用があり、鎮痛、鎮静効果があり肩こりや腹痛、更年期症状の改善、冷え性に作用します。
③黄耆(オウギ)
マメ科キバナオウギ、またはナイモウオウギの根を除いて乾燥したもので、疲労を回復させる代表的な補気薬の一つ。強壮や末梢血管拡張、抗菌・抗アレルギー、抗ストレス、血圧降下、利尿作用があります。
④地黄(じおう)
ゴマノハグサ科ジオウ属植物の根茎を乾燥させたもので、血液中の熱を除去したり、血を補う効果があります。
全身の倦怠感や、不整脈、糖尿病、頻尿などに効果があります。
⑤川芎(せんきゅう)
セリ科センキュウのひげ根を取り除いた根茎を、湯通しして乾燥させたもので、血行を促進して、血液を元気にします。
補血作用に優れていて、生理痛や冷え性、高血圧の随伴症状に作用します。
⑥釣藤鈎(ちょうとうこう)
アカネ科のカギカズラのとげなどを乾燥させたもので、高血圧に伴う興奮や痙攣、めまい、不眠に効果があります。
⑦黄柏(おうばく)
ミカン科の木肌またはシナキハダの樹皮を乾燥させたもので、解毒効果があり、下痢や腹痛、湿疹に効果があります。
七物降下湯と、釣藤散の違いは?
七物降下湯は、高血圧に伴うほてりやめまいに効果があると書きました。
実は高血圧に効果のある漢方に「釣藤散」というものがあります。
この七物降下湯と釣藤散は何が違うかというと、釣藤散は頭痛や神経痛によって起こる高血圧に対して効果を発揮します。
七物降下等の場合、「気」と「血」の乱れを改善して、高血圧に伴う症状を改善しますが、釣藤散は血を補強する作用はありません。
高血圧自体が原因ではなく、高血圧になる原因に効果を発揮する作用がある漢方なので、七物降下湯とは似ているようで違います。ややこしいですね。
七物降下湯の副作用はあるのか
七物降下湯には、虚弱体質の方にでも処方されるので重篤な副作用は報告されていないので安心して使用することができます。
しかし
- 食欲不振
- 胃部不快感
- 悪心
- 嘔吐
- 下痢
が報告されています。
これらの症状が起きたら担当の医師や薬剤師に相談し、指示に従って下さいね。
まとめ
今回は七物降下湯が更年期にどう作用するのか、さらに副作用についても見てきました。
七物降下湯は特に更年期になり血の巡りが悪くなることで起こる、体の不調に効果があることがわかりました。
虚弱体質の方でも服用できる漢方なので、副作用も過度に心配する必要はありません。
処方された場合には医師の指示に従い服用しましょう。