漢方薬・生薬

苓桂味甘湯はどんな漢方薬?気になる効果効能・副作用について

漢方薬は、長い年月をかけて臨床的な経験を積み重ねて作られた薬です。

したがって、多くの人々が使ってきたことで、その効果は実証されていると言えます。

苓桂味甘湯も同じで、確かな効果が知られていますが、その反面、副作用も報告されています。

今回の記事では、苓桂味甘湯の効果効能に加え、その副作用、そして副作用を起こさないように安全に使うためのポイントについて解説します。

苓桂味甘湯とは?

苓桂味甘湯は、リョウケイミカントウとよみます。

苓桂味甘湯の性状

苓桂味甘湯は、顆粒、つまり粉薬です。

その色は、淡黄かっ色から黄かっ色で、独特のにおいがします。

味は、少し苦く、そして甘い微妙な味とされています。

色味については、苓桂味甘湯が天然生薬から生成されている関係で、製剤ごとに少し色の差があります。

開けてみたら少しイメージと異なる色味だったとしても、さほど心配する必要はありません。

苓桂味甘湯の成分

苓桂味甘湯は、漢方薬ですから、天然の生薬を組み合わせて作られています。

その主成分である生薬は、茯苓(ブクリョウ)・桂皮(ケイヒ)・五味子(ゴミシ)・甘草(カンゾウ)の4種類で、苓桂味甘湯1包あたりの含有量は、茯苓(ブクリョウ)約1.6[g]、桂皮(ケイヒ)約1.06[g]、五味子(ゴミシ)約0.8[g]、甘草(カンゾウ)約0.53[g]となっています。

余談ですが、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)という苓桂味甘湯と似た名前の漢方薬があります。

両者の違いは生薬です。苓桂朮甘湯は苓桂味甘湯のように五味子は配合されていません。

五味子の代わりに白朮(ハクジュツ)が配合されています。

それ以外は同じなので名前が似ているのです。

このことから、漢方薬の名前の由来が生薬にあることがわかってもらえると思います。

ところで、苓桂味甘湯の生薬の働きですが、『桂皮』と『五味子』には、のぼせた感じや頭の違和感を改善する効果・咳をおさえる効果、『茯苓』にはおしっこを出す働きを改善させる効果があり、これらの作用で症状の改善を図ります。

このほか、添加物として、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素が配合されています。

苓桂味甘湯の証

漢方薬の根拠とも言える漢方医学では、西洋医学と異なり病気は体の一部が悪くなって起こるのではなく、全身的な体力の状況の変動により病気が生じると考えられています。

そのため、体力の充実度を重要な判断材料の一つとしています。

体力の充実度をはかるものさしとして用いられているのが、『証(ショウ)』です。

『証』は、体力が充実している人を指す『実(ジツ)』と、体力が低下して弱っている人を指す『虚(キョ)』、そしてその中間で判断します。

もちろん、『実( ジツ)』と『虚(キョ)』ともに生じる病気もあります。

苓桂味甘湯の『証』は、『虚(キョ)』です。

このことから、体力が低下している人、つまり虚弱体質の人に用いられる漢方薬であることがわかります。

苓桂味甘湯が適する症状

寒がる男性

苓桂味甘湯は、『手足の冷え性に悩んでいる人』、『のぼせやすく顔が赤くなりやすい人』、『頭がぼんやりとしてはっきりとしない人』、『動悸がする人』、『気力が低下して気分が落ち込みやすい人』、『風邪が治った後の咳で困っている人』、『気管支の炎症による咳や耳の詰まり感を起こしている人』に適した漢方薬です。

苓桂味甘湯の効果・効能および副作用

苓桂味甘湯には、どのような効果効能、そして副作用があるのでしょうか。

苓桂味甘湯の効果・効能

苓桂味甘湯は、体力が低下した人の、手足の手足の冷え性や赤ら顔、特にのぼせ感、からぜき、動悸、喉の詰まった感じ、耳のふさがった感じの解消に効果があります。

なお、どれくらいの期間で苓桂味甘湯が効果を発揮してくるかは、個人差があるので判断が難しいのですが、多くの人で半月〜1ヶ月弱で症状が改善してくるようです。

もし、1ヶ月程度服用を続けても、はっきりとした効果が感じられない場合は、一旦服用を中止し、医師や薬剤師に一度相談したほうがいいでしょう。

苓桂味甘湯の副作用

苓桂味甘湯の副作用は、皮膚に現れることが多く、皮膚の発赤や発疹(ブツブツ)、かゆみが代表的な症状とされています。

これ以外に、下記の副作用も報告されています。

これに当てはまる場合は、重篤な副作用と判断されますので、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

症状 副作用として疑われる病気
手足のだるさ・こわばり・脱力感・しびれ感・つっぱり感 偽性アルドステロン症
手足のだるさ・こわばり・脱力感・しびれ感 ミオパチー

 

苓桂味甘湯の飲み方

薬を飲む女性
苓桂味甘湯は、食前、または食間(食後2〜3時間後のこと)に服用してください。

薬というと食後に飲むものが多いので、間違えないように気をつけてください。

服用するときは、水かお白湯で飲むようにしてください。

年齢 1日量
大人(15歳以上) 1回1包×3回/日
7歳以上15歳未満 1回2/3包×3回/日
4歳以上7歳未満 1回1/2包×3回/日
2歳以上4歳未満 1回1/3包×3回/日
2歳未満 1回1/4包×3回/日

 

苓桂味甘湯の使用上の注意点

苓桂味甘湯も薬ですから服用する上で、いくつか守らなければならない注意点があります。

効果的に、そして副作用を起こしにくくするために、必ず守ってください。

飲み忘れた場合

苓桂味甘湯は、1日3回服用する漢方薬ですが、中には忘れてしまうこともあるでしょう。

そんな時は、気付いた時にすぐに飲んでいただければ大丈夫です。

ですが、次に飲むタイミングが2時間以内に迫っている時は飲まず、次の時間に飲むようにしてください。

なお、飲むのを忘れからといって、2回分を1度に飲むのはダメですので、注意してください。

苓桂味甘湯を服用する前に相談したほうがいい場合

以下に記載した項目に当てはまるような場合は、使用する前に医師や薬剤師と相談するようにしましょう。

  • 苓桂味甘湯を含む何らかの薬を使って、以前にかゆみやじんましんなどのアレルギー症状が現れたことがある人
  • 妊娠中か妊娠の可能性のある人、もしくは授乳中の人
  • 現在、病気の治療で医師から処方された薬を使っている人
  • 体にむくみがある人
  • 高齢者
  • 高血圧症や心臓病、腎臓病の治療を受けている、もしくは受けたことがある人

1歳未満の場合

1歳未満のお子さんの場合は、苓桂味甘湯を飲ませるのではなく、まずは医師の診察を受けるようにしましょう。

3ヶ月未満は、服用禁止です。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、苓桂味甘湯の効果効能・副作用について紹介してきました。

苓桂味甘湯は、体力が低下気味の人のうちで、手足の冷え性・のぼせによる赤ら顔・頭がすっきりしない人・咳が治りにくい人・気分が落ち込みやすい人・耳の詰まり感などに効果があります。

子供さんにも使える漢方薬なのですが、苓桂味甘湯を与えるのは2歳以上にしておいたほうが無難でしょう。

ドラッグストアーで市販もされている漢方薬なので、前述の症状で悩んでいる人は、一度苓桂味甘湯を使ってみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

記事執筆・監修

運営者

漢方生薬 研究所

漢方生薬研究所のスタッフによる執筆・監修記事です。漢方をはじめ、第二類医薬品や第三類薬品、健康食品、サプリメント情報を配信しています。

関連おすすめ記事

    関連記事がありません

同じカテゴリ新着記事

TOP