漢方薬・生薬

連珠飲はどんな漢方薬?気になる効果効能・副作用について

漢方薬は、天然の生薬を幾つか混ぜ合わせて作られた薬です。

天然の生薬から作られたというと、一般的によく使われる、いわゆる西洋薬ほどの効果はなさそうに聞こえるかもしれませんが、近年、生薬から有効成分を抽出して薬を作ることもあり、長年の経験に裏打ちされた漢方薬の効果は無視できないものがあります。

連珠飲という漢方薬の効果効能、副作用、そして安全に服用するためのポイントについて解説します。

連珠飲とは?

連珠飲は、『レンジュイン』とよみます。

漢方薬は、『漢』方薬と書きますから、中国で誕生した薬と思われがちですが、実はこの連珠飲は、歴とした日本生まれの漢方薬です。

苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)と四物湯(シブツトウ)という二種類の漢方薬を組み合わせることで、江戸時代に誕生したと言われています。

連珠飲の性状

連珠飲はもともと粉薬ですが、タケダから錠剤タイプの製剤も発売されています。

連珠飲は、灰黄色〜灰かっ色をしています。

その香りは独特の香りを伴っています。

連珠飲の成分

連珠飲に配合されている生薬は、当帰(トウキ)・芍薬(シャクヤク)・川芎(センキュウ)・地黄(ジオウ)・茯苓(ブクリョウ)・桂皮(ケイヒ)・蒼朮(ソウジュツ)・甘草(カンゾウ)の8種類です。

1回あたりの配合量
当帰(トウキ) 約0.5[g]
芍薬(シャクヤク) 約0.5[g]
川芎(センキュウ) 約0.33[g]
地黄(ジオウ) 約0.16[g]
茯苓(ブクリョウ) 約0.66[g]
桂皮(ケイヒ) 約0.5[g]
蒼朮(ソウジュツ) 約0.5[g]
甘草(カンゾウ) 約0.16[g]

 

これに加え、添加物として、ステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、無水ケイ酸などが配合されています。

連珠飲の証

漢方薬が根拠としている漢方医学は、西洋医学とは病気に対する考え方が異なっています。

西洋医学では、局所の異常によって病気が生じると考えているのに対し、漢方医学では、全身的な体力のバランスの変化が病気を引き起こすとされています。

そこで、漢方医学では、体力がどのような状態にあるのかを示すものさしとして、『証』を用いて、『実(ジツ)』か『虚(キョ)』、もしくはその中間で表します。

『実(ジツ)』とは体力が充実している人、反対に『虚(キョ)』は体力が低下して体が弱っている人です。

連珠飲の『証』は、『実』〜『虚』なので、体力が中等度からやや虚弱体質な人に用いられる漢方薬ということがわかります。

連珠飲が適する症状

寝ている女性
連珠飲は、苓桂朮甘湯と四物湯を組み合わせて作られた漢方薬なので、両方の効果を備えています。

すなわち、苓桂朮甘湯の水分代謝や自律神経を整える作用と、四物湯の血液の流れを改善させる作用です。

このため、連珠飲は、ほてり、冷え性、のぼせ、だるさ、疲労感などの症状に適しています。

もちろん、ここに挙げた症状の全てに当てはまらなくても、内服してもらって構いません。

連珠飲の効果・効能および副作用

連珠飲には、どのような効果効能、そして副作用があるのでしょうか。

連珠飲の効果・効能

漢方医学では、人の体の中には、生命の活力でもある『気(キ)』・免疫力などの防御を担う『水(スイ)』・『気』と『水』の働きを調節し、体調のバランスを整える『血(ケツ)』が巡っているとされています。

これらの3つのバランスが取れていると健康なのですが、いずれか一つでも巡りが悪くなると病気になると考えられています。

連珠飲は、『水(スイ)』の巡りが悪くなり局所に止まった状態を解消する、そして『血(ケツ)』の巡りが悪くなり、全体的に減少してしまった状態を改善させる効果がある漢方薬です。

この効果により、連珠飲は、『水(スイ)』の巡りを良くすることで、水分代謝や自律神経を整え、むくみや不眠、頭痛、疲労感などを治します。

『血(ケツ)』の巡りを良くすることで、体を温め、のぼせや冷え性、ほてり感などを改善させます。

なお、連珠飲が効果を感じられるまでにかかる日数は人それぞれ症状や体質が異なるので、一概に申し上げるのはとても難しいのですが、20日前後が一つの目安とされます。

実際に臨床試験でも3週間を目安に効果を確かめています。

もし、連珠飲を1ヶ月程度服用を続けても、はっきりとした効果が感じられない場合は、医師や薬剤師に一度相談したほうがいいでしょう。

連珠飲の副作用

連珠飲の副作用は、皮膚に現れる症状と、消化器系に現れる症状が知られています。

皮膚症状 発赤(赤み)・発疹(ブツブツ)・かゆみ
消化器系症状 吐き気や嘔吐・お腹の不快感・食欲低下・胃の張り感・腹痛

 

連珠飲の飲み方

薬を飲む女性
連珠飲は、食後に服用します。

漢方薬は、食前や食間に服用するものが多いのですが、連珠飲は食後に服用します。

これは、連珠飲に配合されている生薬の一つである地黄(ジオウ)が、胃腸を刺激しすぎることがあるからで、胃腸に負担をかけにくい食後に服用するようになっているのです。

服用するときは、水かお白湯で飲むようにしてください。

服用量は、大人(15歳以上)で1回1包×3回/日です。

連珠飲の使用上の注意点

連珠飲も薬ですから、服用する上で、守らなければならない注意点がいくつかあります。

副作用を起こしにくくし、安全に使うるために、必ず守るようにしてください。

飲み忘れた場合

連珠飲も、他の漢方薬と同じく1日3回服用するのが基本ですが、うっかり飲み忘れてしまうこともあるでしょう。

もし飲み忘れたことに気づいたら、その時に改めて飲んでいただければ大丈夫です。

ただし、次の服用時間が2時間以内に近づいているときは飲むのをやめて、次の服用のタイミングで飲むようにしてください。

なお、飲むのを忘れからといって、次の服用のタイミングで2回分を1度に飲む人がいますが、それは正しい飲み方ではありませんので、そのような飲み方はしないでください。

連珠飲を服用する前に相談したほうがいい場合

以下に記載した項目に当てはまるような場合は、使用する前に医師や薬剤師と相談するようにしましょう。

  • 連珠飲を含め、以前に何らかの薬を使った時に、かゆみやじんましんなどのアレルギー症状が現れたことがある人
  • 妊娠中または妊娠している可能性がある人、もしくは授乳中の人
  • 現在、病気の治療で医師から処方された薬を使っている人
  • 体力が低下している人、体の弱い人
  • 胃腸が弱い人
  • 下痢しやすい人

連珠飲を使ってはならない人

15歳未満は服用してはいけません。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、連珠飲の効果効能・副作用について紹介してきました。

連珠飲は、苓桂朮甘湯と四物湯を組み合わせて作られた、ほてりやのぼせ、冷え性、疲労感、だるさに効果のある漢方薬です。

副作用は皮膚症状と消化器症状が主で、それほど重篤な症状は現れないようですが、もし何らかの症状が現れた場合は、服用を中止して、医師の診察を受けるようにしてください。

前述した症状で悩んでいる方は、一度、連珠飲をお試しになってみてはいかがでしょうか。

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記事執筆・監修

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漢方生薬 研究所

漢方生薬研究所のスタッフによる執筆・監修記事です。漢方をはじめ、第二類医薬品や第三類薬品、健康食品、サプリメント情報を配信しています。

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