なんとなくイライラする、最近眠れない、といった症状でお悩みではありませんか?
イライラや不眠、月経期などに現れる症状に、良い漢方薬はほかにもありますが、体質にあっていなければ十分に効果が発揮されません。
ここでは、体力が充実している方向けの漢方薬、「黄連解毒湯」が適応する「イライラ、不眠、のぼせ、月経時期の症状」について、詳しくご紹介します。
黄連解毒湯はどんな漢方薬?
黄連解毒湯は、体の熱や炎症をとったり、体の機能が活発になりすぎているのを鎮める働きがあります。
中医学では「実証」という、体力が充実している方に処方されます。
虚弱な方には向かない漢方薬ですので、注意点を含めて確認していきましょう。
効能効果
黄連解毒湯は、比較的体力がある人で、のぼせ気味で顔色が赤く、イライラする傾向がある次の症状に働きます。
- 鼻出血
- 不眠症
- ノイローゼ
- 胃炎
- 二日酔い
- 血の道症
- めまい
- どうき
「血の道症」とは、「血」の不足や「気」の滞りから起こる女性特有の不調のことで、月経、妊娠、出産、更年期に現れやすい症状を指します。
また、ノイローゼなど、精神神経症状を伴う高血圧にも有効です。
上記に記載の症状以外でも、黄疸や化膿性炎症、内臓炎症など、体に熱がこもることで現れる全ての熱病症に効果が見込めます。
中医学では、体の熱が暴走すると口や肌が渇いて、次第に体を傷つけるようになる、と考えます。
体の熱を冷ます働きがある生薬で構成されている黄連解毒湯について、詳しくみていきましょう。
生薬
黄連解毒湯の構成生薬は、次のとおりです。
- 黄芩(オウゴン)……シソ科の植物で、根を生薬として用います。
- 黄連(オウレン)……キンポウゲ科の植物の根茎を用います。非常に苦味の強い生薬です。
- 山梔子(サンシシ)……アカネ科の植物で、クチナシとしても知られています。生薬としては、完熟手前の果実を用い、止血や消炎などの作用があります。
- 黄柏(オウバク)……ミカン科の植物で、樹皮を生薬に用います。
構成されているこれらの生薬は、すべて苦味の強い生薬です。
苦味の強い薬剤は、体の熱を下げる効能を持つとされ、この処方は強い清熱作用を持つ処方の一つと言われています。
この黄連解毒湯と似た生薬構成の「三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)」という清熱剤があります。
三黄瀉心湯は、体にこもった熱を大便を介して排出するのに対し、黄連解毒湯は小便を介して排出し、熱を冷ますものです。
お薬は、個別の体質に合わせて服用しなければ効果も期待できませんので、注意点も併せてみていきましょう。
副作用や使用上の注意点
黄連解毒湯は、比較的体力がある方向けの漢方薬ですので、虚弱体質の方や高齢の方が、症状の改善のため服用したい場合、必ず医師または薬剤師に相談してください。
次のような方も、服用を検討する前に必ず医師または薬剤師、医薬品登録販売者に伝えましょう。
- 前にお薬を使用した時に、かゆみや発疹などのアレルギー症状が出たことがある
- 妊娠または授乳中
- ほかに薬などを使っている(相互作用が出ることもありますので、注意が必要です)
これらに当てはまらなくとも、飲みはじめの時には、「じんましん、食欲不振、胃部不快感、嘔吐、下痢」など気になる症状が出ないかどうか、注意が必要です。
また、市販薬を購入する際には、薬剤師または医薬品登録販売者に相談しましょう。
西洋医学からみる黄連解毒湯
黄連解毒湯は、中国「唐」時代の『外台秘要』で紹介されているほど昔から用いられてきた処方です。
原典の条文には「止血」や「血」の記載は見られませんが、古くから出血傾向がある症状に用いられてきました。
近年では、西洋医学では困難だった症状の止血作用が認められたとする、日本での臨床報告もあります。
それによると、「黄連解毒湯は、消化管出血などの難治性出血例に対する薬物療法として、安全で有効な選択肢となる可能性がある。」として、有用性が期待されているのです。
また、黄連解毒湯の配合生薬である「黄蓮」や「黄柏」には、「ベルベリン」という成分が含まれています。
このベルベリンは、ミカン科やキンポウゲ科の植物に含まれ、抗菌・抗炎症などの作用があるとして、サプリメントでも市販されています。
アメリカの医学博士であるスティーブン・R・ガンドリー氏は、自身の著書の中で、腸を健康にするために手助けになるサプリメントとして「有効成分であるベルベリン」を含むものと紹介しています。
黄連解毒湯についてのまとめ
イライラや不眠、月経期に現れる症状には、適応している漢方薬がいくつもあります。
もし、これまでに服用した漢方薬の効き目があまり出てなかったと感じる場合は、黄連解毒湯の服用を検討してみてはいかがでしょうか。
二日酔いの症状にもいいので、お酒を嗜む方は常備しておくのもおすすめです。