頑固な乳腺炎、皮膚炎、倦怠感に!紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)の効能と副作用とは
慢性的な病気によって体力や免疫力が低下した状態を消耗性疾患といいますが、ここで紹介する「紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)」は、この消耗性疾患に伴う乳腺や皮膚の炎症、貧血や倦怠感に効果を発揮します。
その生薬成分と、生薬が生み出す効能と副作用、注意点を解説します。
紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)の効能と生薬成分とは?
「紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)」は消耗性疾患に悩むひとに用いられる漢方薬ですが、その生薬成分はどのように体に作用し、どのような効能を生むのでしょうか。
配合生薬
紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)は10種の生薬成分からなっています。
この薬の主成分である「紫根(シコン)」には熱を下げて解毒し、膿を体外に押し出す効果があります。
「忍冬(ニンドウ)」「升麻(ショウマ)」にも同様の効果があり「紫根(シコン)」の働きを助けます。
漢方名にも含まれている「牡蛎(ボレイ)」は炎症や熱をやわらげ、便を排出する瀉下作用を持ち、硬い腫瘤をやわらげます。
「大黄(ダイオウ)」の持つ、滞った血の巡りを良くする駆瘀血作用と瀉下作用もこれを助けます。
「芍薬(シャクヤク)」「当帰(トウキ)」「(センキュウ)」は不足した血を補う「補血剤」の基本的処方である「四物湯(シモツトウ)」にも含まれています。
血を補い、血の巡りを良くする効果があります。
「黄耆(オウギ)」は不足した気を補って全身の機能を高め、皮膚の調子を整えたり、体のむくみをとります。
「甘草(カンゾウ)」には緊張を緩和させ、他の生薬の働きを補強する効果があります。
頑固な湿疹、皮膚炎、乳がん、乳腺炎、リンパ腫、痔に
「紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)」は乳がんやリンパ腫など、長引く悪性の腫瘍や皮膚病等によって体力、免疫力が低下し、元気がなく、貧血や倦怠感がある患者に効果があります。
炎症を鎮めて排泄をうながすことで腫瘍を和らげる作用をもつので、治療効果がなかなか得られない消耗性疾患に対する治療の補助剤として用いられます。
虚証で貧血体質、倦怠感がある方に
普段から体力がなく、疲れやすい体質を漢方では「虚証(キョショウ)」と呼びます。
「芍薬(シャクヤク)」「当帰(トウキ)」「川芎(センキュウ)」の持つ不足した血を補って血の巡りを良くする効果と「黄耆(オウギ)」の持つ気を補って全身の機能を整える効果が虚証による貧血や全身の倦怠感に効果を発揮します。
紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)の正しい服用方法と注意点
漢方薬は用法・用量をしっかりと守って服用しましょう。
使い方を間違えてしまうと、その薬本来の効果が発揮されなかったり、場合によっては逆効果となってしまうこともあるので、正しく理解することが大切です。
正しい服用方法
「ウチダの紫根牡蛎湯」煎じ薬の場合
15歳以上の大人は1袋(1日分)につき水600mLを加え,弱火~中火にかけ半量の300mLに煮つめます。
2~3回に分けて食前1時間または食間の空腹時に温かい状態で服用してください。
15歳未満は服用しないようにしてください。
(煎じ薬は特に品質が変化しやすいので、直射日光を避け、湿気の少ない涼しいところに保管しましょう。)
コタロー「紫根牡蛎湯エキス細粒G」の場合
1日3回食前か食間の空腹時に服用します。
15歳以上は一回一包服用します。
服用量は年齢、体重、症状により増減します。
1歳未満は医師の診療を受けてください。
3か月未満の乳児は服用できません。
服用する際には水かお湯を使用しましょう。
お湯で服用すると体が温まり、薬効を得やすくなります。
顆粒エキス製剤はお湯に溶かして飲みます。
ジュースなどで服用するとその成分が薬に影響を及ぼす可能性があるのでやめてください。
服用できない人、注意が必要な人
体質や状況によっては、「紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)」の服用ができなかったり注意が必要な場合があります。
下記に当てはまった場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
小児や妊婦、授乳中の人
妊娠中や授乳中のひとの体や胎児への安全性は確立していません。
また小児の体への安全性も確立しておらず、「ウチダの紫根牡蛎湯」は15歳以下の服用は禁止、「紫根牡蛎湯エキス細粒G(コタロー)」は3か月未満の乳児の服用は禁止・1歳以下は医師の診察を受けるようにとの記載があります。
薬にアレルギーがあるひと、以前薬で体調を壊した人
アレルギーや体調を崩した原因となった成分と同じものや似た成分が含まれている可能性があります。
持病がある人、他の症状を治療中の人、他の薬を使用中の人
持病や現在治療している症状に悪影響を与えてしまう場合があります。
また、他の薬との飲み合わせによっては、特定の成分を過剰に摂取してしまったり、成分同士が反応し合って予期せぬ効果や副作用があらわれる場合があります。
紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)の副作用とは?
よく副作用が少ないと言われる漢方薬ですが、その人の体質によっては以下のような副作用が現れる場合があります。
服用中に体調に異変があらわれたときはすぐに服用を中断し、医療機関で診察を受けましょう。
皮膚の異常
薬に含まれるなんらかの成分に体が反応すると、蕁麻疹や発疹、発赤、かゆみ等の皮膚異常が現れることがあります。
皮膚に異変を感じたらすぐに服用を中断してください。
飲み続けてしまうと皮膚異常が慢性化してしまったり、重大な症状へと悪化してしまうかもしれません。
食欲不振や吐き気など、胃の不快感
体質によっては、服用してしばらくすると胃がムカムカしてきたり、食欲がなくなったり、吐き気があらわれることがあります。
吐き気がひどいときは我慢せずに吐いてしまった方が楽になります。
錠剤や粉薬をお湯で服用している場合は、水に変えると胃の不快感などの症状が治まることがあります。
偽アルドステロン症
「甘草(カンゾウ)」の成分である「グリチルリチン」を過剰に摂取してしまうとおこります。
体のだるい、手足が痺れる・痛い、血圧が上がった、体がむくんで体重が増えた、などの症状は「偽アルドステロン症」を疑いましょう。
「偽アルドステロン症」が悪化すると、四肢の痺れや筋力の低下を引き起こす「ミオパチー」が現れることがあります。
他の薬との飲み合わせや薬の長期服用による副作用
同時にいくつかの薬を併用したり、長期にわたって服用を繰り返している場合は、ある成分を過剰に摂取してしまったり、成分と成分が反応して新たな効果や副作用を生む場合があります。
特に「甘草(カンゾウ)」の過剰摂取は先に紹介した「偽アルドステロン症」を引き起こす要因となります。
「当帰(トウキ)」の過剰摂取は、皮膚の異常を引き起こすことがあります。
紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)を取り扱っているのはウチダ和漢薬とコタロー
「紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)」はウチダ和漢薬から煎じ薬が、コタローから細粒薬が市販されています。
楽天などの通販で購入することも可能です。
しかし初めて服用する際は漢方薬を扱う医院や漢方薬局で専門家に処方してもらうといいでしょう。
専門家に自分の体質にあった漢方薬を選んでもらえるだけでなく、保険が効くと市販品よりも安く購入できます。
まとめ
治りにくい頑固な乳がん、乳腺炎、リンパ腫、皮膚炎に長い間悩んでいませんか?
「紫根牡蛎湯(シコンボレイトウ)」の力を利用すれば解決するかもしれません。
ぜひ一度、試してみましょう。