漢方薬・生薬

苓桂朮甘湯はどんな漢方薬なの?気になる効果効能・副作用について

漢方薬は、”漢”方薬と漢字で表しますので、漢字のように一見すると中国で生まれた薬のように思われてしまいがちですが、実はそうではなく、日本で生まれた薬剤です。

ですが、苓桂朮甘湯は中国の古典的医学書である『傷寒論(ショウカンロン)』に出てくる薬です。

傷寒論の中では、体の中に水分が溜まりすぎる、水分の流れが悪くなる、つまり『水毒(水毒)』で病気が起こるとされています。

苓桂朮甘湯は、この水毒の解消を図ることで、病気を治そうという薬です。

今回の記事では、苓桂朮甘湯の効果効能・副作用、そして副作用を起こさないために注意してほしいことについてご紹介します。

苓桂朮甘湯とは?

苓桂朮甘湯とはどんな漢方薬なのでしょうか?

まず、苓桂朮甘湯の読み方ですが、リョウケイジュツカントウと読みます。

漢方薬には製品番号がそれぞれ定められています。

苓桂朮甘湯は、国内の代表的な漢方薬メーカーであるツムラ・コタロー・クラシエのいずれのメーカーでも製品番号が39となっています。

その主成分である生薬は、ブクリョウ、ビャクジュツ、ケイヒ、カンゾウです。

このほか、添加物として、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、乳頭水和物、二酸化ケイ素が配合されています。

苓桂朮甘湯の性状

苓桂朮甘湯は、粉薬です。

色は黄色味がかっており、独特なニオイがあります。

ただし、色に関しては、天然の生薬エキスで作られていることもあり、少し異なることもあります。

味は、苦いが少し甘いです。

苓桂朮甘湯の証

証とは、どのような状態の人に適した漢方薬かを表す言葉です。

ややこしいのですが、病名とは異なります。

苓桂朮甘湯の証は、『虚〜中間』となっています。。

虚は、平素の体力が下がっている人を指します。

ですので、苓桂朮甘湯は、体質の面では、虚弱体質の人に使われる漢方薬ということになります。

苓桂朮甘湯が適する症状

苓桂朮甘湯は、『ふらついてまっすぐ歩きにくい』『ご自身・周囲がぐるぐると回っている感じがする』『朝起きられない』という方に適した漢方薬です。

それ以外にも、『動悸』や『息切れ』しやすいという悩みを持つ方にもおすすめです。

苓桂朮甘湯の効果効能及び副作用

苓桂朮甘湯の効果・効能や、副作用、使用上の注意点は、苓桂朮甘湯の添付文書に記載してあります。

苓桂朮甘湯の効果を最大限に発揮するためには、こうした点をしっかりと理解して服用することが大切です。

苓桂朮甘湯の効果・効能

息切れしているおばあちゃん

漢方医学の考え方では、病気の原因は、体の中の『水(スイ)』や『気(キ)』のめぐりにあるとされています。

すなわち、体の中の『水(スイ)』や『気(き)』のめぐりが順調だと健康なのですが、何らかの原因によって体の中の『水(スイ)』のめぐりが悪くなると、体の上の方に『水』がたまるようになります。

『水(スイ)』がたまったことで、『気(キ)』のめぐりが妨げられて不健康になり、めまいやふらつきが起こると考えられています。

苓桂朮甘湯は、体の中の『水(スイ)』のめぐりを改善させてたまりにくくし、体内の『気(キ)』のめぐりを整え、そして補う効果があります。

この効果によって、苓桂朮甘湯はめまいやふらつきを解消します。

さらに、この効果は『心(シン)』にも及びますので、動悸や息切れといった循環器系に関わる症状も改善します。

苓桂朮甘湯を飲み始めて、効果が出るまでに要する期間は、個人差があり、どれくらいの日数であるかを明示することは難しいです。

ですが、飲み始めて1ヶ月以上経つのに、効果が認められないというような場合は、医師や薬剤師などに相談した方がいいでしょう。

苓桂朮甘湯の副作用

苓桂朮甘湯の主な副作用は、発疹(体にブツブツが生じること)、発赤(肌に赤みが差してくること)、かゆみなどが指摘されています。

その他、尿量が減ってくる、顔や手足がむくんでくる、まぶたが重くなる、手にこわばりが生じるといった副作用も報告されています。

また、体がだるくなり、手足に力が込められなくなったり、手足がひきつったり、手足がしびれたりする副作用も認められています。

前者は『偽アルドステロン症』、後者は『ミオパチー』とよばれる病態です。

もちろん、これ以外の副作用が起こる可能性もゼロではありません。

もし、ここに挙げたような症状や、その他に不安を覚える症状が現れた場合は、一度医師や薬剤師などに相談するようにしてください。

苓桂朮甘湯の飲み方

苓桂朮甘湯の用法は、1日3回食前もしくは食間の服用です。

苓桂朮甘湯を飲むときは、水やお白湯を使いましょう。

用量ですが、全年齢層で1日の服用回数が3回というところは共通しています。

1回の服用量は年齢によって異なり、

1回量
成人(15歳以上) 1包
7歳以上15歳未満 2/3包
4歳以上7歳未満 1/2包
2歳以上4歳未満 1/3包
2歳未満 1/4包

と、定められています。

苓桂朮甘湯の使用上の注意点

女性注意
苓桂朮甘湯を使う上でいくつかの注意点があります。

副作用のリスクを抑え、安全に苓桂朮甘湯を使うために、必ず守るようにしましょう。

子供に使う場合の注意点

 

  1. 生後3ヶ月未満の乳児には使用禁止です。
  2. 1歳未満の乳児は、やむを得ない場合しか使ってはいけません。
  3. 子供に使う場合は、親御さんが必ず監視するようにしてください。

飲み忘れた場合

飲み忘れることもあるでしょう。

そんなときは、飲み忘れたことに気がついたときに飲んでいただければ大丈夫です。

ですが、次の服用時間が2時間を切るような場合は、飲むのを中止して、次に服用すべき時間に飲むようにしましょう。

飲み忘れ方らといって、1度に2回分を飲むようなことは決してしないでください。

苓桂朮甘湯を使う上で相談したほうがいい場合

以下のケースに当てはまる場合は、服用する前に医師や薬剤師などの専門家に相談してください。

  • 現在、何らかの病気の治療を受けている人
  • 妊娠中の人、もしくは妊娠の可能性がある人
  • 高齢者
  • 苓桂朮甘湯だけでなく、その他の薬を含め、薬によってかゆみや蕁麻疹などのアレルギー症状を起こしたことがある人
  • 高血圧症や心臓病、腎臓病にかかったことがある人
  • 体にむくみが生じている人

まとめ

いかがでしたか?

今回は、苓桂朮甘湯の効果効能・副作用などについて紹介しました。

苓桂朮甘湯は、体力が普通よりもやや低下した方で、めまいやふらつき、動悸、息切れなどの症状で悩んでいる人に適した漢方薬です。

苓桂朮甘湯は、市販されている漢方薬なので、薬局や薬店で購入できます。

もし、立ちくらみやめまいを起こしやすい、または頭痛や動悸などの症状で悩んでいるという方は、苓桂朮甘湯を使ってみてはいかがでしょうか。

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記事執筆・監修

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漢方生薬 研究所

漢方生薬研究所のスタッフによる執筆・監修記事です。漢方をはじめ、第二類医薬品や第三類薬品、健康食品、サプリメント情報を配信しています。

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