呉茱萸湯(ゴシュユトウ)の効能効果とは?頭痛のお悩みに◎
今回は、頭痛のお悩みにおすすめの漢方薬、「呉茱萸湯(ゴシュユトウ)」について紹介します。
頭痛といっても、突発的なもの、慢性的なもの、何らかの病気が原因になっているものまで様々。
日本人は、約4人に1人が週1回以上の頭痛に悩まされているというデータがあり、中でも片頭痛は、日本の成人の約8%が持っているという報告もあります。
はやく治したいツライ頭痛について、効果的なお薬の服用方法などについてもご紹介します。
漢方医学で考える頭痛の原因
一般的な頭痛の原因として、長時間の同じ姿勢による体の凝り、パソコンやスマートフォンの使用による目の疲労、ストレスなどが挙げられます。
女性の場合は、月経のときのホルモンなどに関係して、頭痛が起こることもあるでしょう。
漢方医学でも頭痛の原因は幅広い視点で捉えられています。
「風」「寒」「熱」「湿」などの外因によるもののほか、体が弱っている「虚証」の状態、また、ズキズキとする頭痛は、冷えがめぐりを邪魔することで起きると考えられています。
最近では、西洋医学の診断を元にして、頭痛の原因だけでなく全体のバランスをみて体質に合わせた漢方薬の処方も行われるようになりました。
ただ、入手しやすさから市販の鎮痛剤を利用しているという人もいるのではないでしょうか。
もし、「前より鎮痛効果が得られない」と感じている場合は、頭痛薬の使用過多による頭痛となっていることも考えられます。
鎮痛効果を得るために一般的な頭痛薬を多用しているのであれば、一度服用を見直した方がいいかもしれません。
呉茱萸湯とは?
呉茱萸湯は、中国の古典「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」に記載があり、古くから用いられている漢方薬です。
現代でも、繰り返す頭痛や片頭痛の時に用いる代表的な漢方薬となっています。
効能効果や配合されている生薬について詳しく見ていきましょう。
効能効果
手足が冷えやすく体力が低下している人の、繰り返し起こる頭痛、片頭痛、肩こりを伴う緊張型の頭痛、頭痛に伴う吐き気などに用いられます。
ちなみに片頭痛とは、ズキズキという激しい痛みが突然起こる頭痛で、吐き気を伴うこともあります。
頭痛のほかには、月経前緊張症や月経前症候群にも用いられることがあります。
生薬
呉茱萸湯に配合されている生薬は以下の通りです。
- 呉茱萸(ゴシュユ)……ミカン科の果実で、気分を落ち着かせて痛みを止める作用があります。漢方では、冷えが原因の頭痛や吐き気、月経痛や腹痛などに用いられます。
- 人参(ニンジン)……朝鮮人参とも言われます。体力低下しているときや手足の冷えがあるときなどに用いられます。
- 大棗(タイソウ)……ナツメの果実です。ほかの生薬との組み合わせで消化器を保護する目的などで配合されます。
- 生姜(ショウキョウ)……呉茱萸湯には、冷えが原因の嘔吐や吐き気に向け、消化器系を温める目的で配合されています。
副作用や使用上の注意点
呉茱萸湯を服用して以下の症状が現れた場合は医師に相談しましょう。
- 発疹
- 蕁麻疹
- 肝機能の異常
服用しても症状が改善しない場合にも、医師や薬剤師の判断を仰いでください。
また、現在治療を受けている方、妊娠している方、過去に薬により発疹等が現れたことがある方は、服用前に医師や薬剤師へ相談してください。
一般的な頭痛薬と呉茱萸湯の違い
西洋医学では頭痛には鎮痛剤を処方するのが一般的です。
ただし鎮痛剤は胃腸障害の副作用が出ることがあり、人によっては服用が難しい場合もあります。
呉茱萸湯はこういった鎮痛剤が使用できない方でも服用できる頭痛薬です。
また、片頭痛がある方が一般的な頭痛薬を使用する場合、ツライ痛みに備えようと、早めに薬を飲んだり、頭痛がないのに薬を飲んだりすることで、薬への耐性がつき効果が弱くなってしまうことがあります。
この場合、さらに頭痛がひどくなり、また薬を飲むという悪循環に陥ることがあり、これを「薬剤の使用過多による頭痛」といいます。
呉茱萸湯は鎮痛剤ではなく、体質改善効果による根本的な治療ができる漢方薬なので、このような状態になっている方の治療にも有効です。
日本頭痛学会でも、呉茱萸湯の片頭痛に対する効果が認められています。
薬が効きにくくなってきたと感じたら、早めに医師に相談してみると良いでしょう。
呉茱萸湯についてまとめ
呉茱萸湯は、頭痛に処方する代表的な漢方薬です。
手足が冷えやすくて疲れやすい方によく起こる、繰り返す頭痛や片頭痛に効果が期待できます。
痛みを一時的に鎮めるのではなく、頭痛が現れにくい体質へ改善することができます。
普段は市販薬を服用しているけど、最近効き目が弱くなったと感じる方は、ぜひ呉茱萸湯を試してみてください。