漢方薬・生薬

肥満や多汗症に効果的!防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)はどんな漢方薬?

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、肥満、多汗症やむくみ、関節痛に効く漢方薬です。

身近な漢方薬で、以前から薬局やドラッグストアなどでは、カタカナ表記の商品名で販売されています。

肥満といっても色々なタイプがありますが、防已黄耆湯は、いわゆる「水太り」といわれる肥満に用いられます。

今回は防已黄耆湯の効能効果や配合されている生薬、日常生活に取り入れられる肥満対策について詳しく解説します。

防已黄耆湯とは?


肥満は、体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。

「内臓脂肪型」や「皮下脂肪型」などの分類もありますが、漢方医学的にみた「水太りタイプ」に処方される防已黄耆湯について、詳しくみていきましょう。

効能効果

市販薬としても入手しやすい防已黄耆湯ですが、医療用としても処方されます。

主に処方されるのは以下のような人です。

  • 色白で筋肉に締まりのない感じ
  • いわゆる水太りの体質で疲れやすい傾向がある
  • 汗かきで尿量が少ない傾向がある
  • 下半身がむくみやすくて関節痛などもある

これらに当てはまる人の、次のような症状に効果が期待できます。

  • 腎炎
  • ネフローゼ
  • 妊娠腎
  • 陰嚢水腫
  • 肥満症
  • 関節炎
  • 筋炎
  • 浮腫
  • 皮膚病
  • 多汗症
  • 月経不順

防已黄耆湯が適する症状

漢方医学的にみると、防已黄耆湯は主に肥満やむくみ、多汗症、ひざの痛みや関節痛といった、水分代謝の不良によって起こる症状に用いられます。

肥満やむくみ

漢方医学的にみる肥満には、水太りタイプの「ぽっちゃり型肥満」と固太りと言われる「ガッチリ型肥満」があります。

食事に気をつけたり、ダイエットを意識したりしているのに、思うように効果が出ないという方は、体の水分代謝がうまくいかずに水分をため込んでしまっている「水太り」の状態だと考えられます。

逆に「ガッチリ型肥満」にあてはまるのは、体力があり脂っこいものや甘いものをよく食べるけど、便秘がちといった傾向にある方です。

防已黄耆湯は、水分代謝を高める働きによって、水太りタイプの肥満やむくみの改善効果に期待できます。

漢方薬は、体質に合わせて用いることで、その効果を発揮します。

多汗症

むくみに効果がある一方で、防已黄耆湯は多汗症にも効果があります。

多汗症は、水分をコントロールできていないため汗が出すぎる状態と考えられています。

防已黄耆湯には、胃腸機能を高める生薬がいくつか配合されており、その効果によって結果的に体の水分代謝を調節し、過剰な発汗を抑えます。

ひざの痛みや関節痛

自分の体重がひざや関節に負担をかけている場合もありますが、体にため込んでしまっている水分が、ひざの痛みや関節痛を引き起こしている場合もあります。

後者の場合、防已黄耆湯が持つ水分を調節する機能が有効に働きます。

生薬

防已黄耆湯は、以下の生薬の組み合わせで成り立っています。

  • 防已(ボウイ)……ツヅラフジ科の根や茎で、水分代謝不良によるむくみや関節痛に用いられます。
  • 黄耆(オウギ)……マメ科の根です。水分代謝をよくしたり、過剰に出る汗を止めたりする目的で配合されます。
  • 大棗(タイソウ)……ナツメの果実です。消化器系の保護の目的や、利尿薬として作用します。
  • 蒼朮(ソウジュツ)……キク科の植物で、根を用います。胃腸に良いとされます。
  • 甘草(カンゾウ)……防已黄耆湯には、消化器機能を高める目的で配合されています。
  • 生姜(ショウキョウ)……消化機能の活発化を目的として配合されています。

副作用や使用上の注意点

防已黄耆湯は、服用によって発疹かゆみなどが現れることがあります。

その場合には、すぐに使用を中止し、医師に相談しましょう。

また他の薬を服用している方は、成分の重複や副作用について考慮しなければいけませんので、医師、薬剤師または医薬品登録販売者に相談しましょう。

妊産婦の方や授乳中の方、高齢者や小児の方が防已黄耆湯の服用を検討している場合は、必ず事前に医師に相談してください。

症状の改善には食事や生活習慣の見直しも大切


防已黄耆湯は、肥満やむくみ、多汗症、ひざの痛みや関節痛に効果的です。

しかし、そのような症状の改善には、日頃から食事や生活の習慣に気をつけることも大切です。

胃腸は冷えると働きが悪くなりますので、水太りの方は冷たい食べ物や冷えた飲み物の取りすぎに注意しましょう。

また、肥満の主な原因は食べ過ぎなので、摂取カロリーの調整や運動の習慣化に取り組んでみてください。

防已黄耆湯についてまとめ


防已黄耆湯は、利尿作用や過剰な発汗を抑える効果によって、体内の水分バランスを整えます。

この働きによって、むくみや関節痛などの原因となる水太りの状態を改善する漢方薬です。

食事や生活習慣に気をつけていても、なかなか肥満が改善しないと感じている方は、防已黄耆湯を試してみてはいかがでしょうか。

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記事執筆・監修

国際中医薬膳師/調理師(ハラール認証)/医薬品登録販売者/フードコーディネーター2級/マスターオーガニックコーディネーター/オーガニックコスメマイスター/加工食品診断士

當房 清香

医薬品登録販売者としてOTC薬(市販薬)を販売する業務に就く傍ら、健康や薬に関する記事ライターとして活動。
調理師やフードコーディネーターの資格を保有し、更にはオーガニック・薬膳・食品添加物に関する資格も持っており、料理研究家。
「自分の未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」
ことを幅広い視点でお伝えしている。
元裁判所書記官であるが、妊娠・出産を機に転身し現在に至る。

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