逍遥散とは?加味逍遥散との違いや配合されている生薬を解説
逍遥散という漢方は女性の味方であり、よく処方されます。
そこで今回はこの逍遥散について詳しく見ていきます。さらに似たようなもので加味逍遥散があるので、この2つの違いも検証していきます。
逍遥散(しょうようさん)の効果とは?
逍遥散とは、「体力が中程度以下」の方に処方され、肩こりや疲れやすいなどの「精神神経症状」や便秘傾向のある方に処方されます。
効果がある疾患は
- 冷え性
- 月経困難症
- 更年期障害
- 不眠症
- 血の道症
です。
ちなみに「血の道症」とは、月経・妊娠・出産・産後・更年期といった女性ホルモンが変化するときに起こる精神神経症状や、体に現れる不調のことを言います。
虚弱体質の方にも処方できるので、産後の体力回復によく処方されます。
逍遥散に配合されている生薬とは?
ここでは逍遥散に配合されている生薬とその効果について紹介していきます。
①当帰(とうき)
セリ科トウキ属植物の根を乾燥したもので、血の循環を活性化し、鎮痛、強壮、鎮静に効果を発揮します。冷え性や月経痛、月経困難に使用されます。
②芍薬(しゃくやく)
ボタン科シャクシャクの根を乾燥したもので、筋肉の痙攣を緩和させる作用、血管の働きを改善する効果があります。
鎮痛・鎮咳、鎮痙、収斂作用にすぐれ生理不順や冷え性、月経異常に使用されます。
③茯苓(ぶくりょう)
サルノコシカケ科マツホド菌の菌核を乾燥して外側の皮を除いたものを使用しています。
利尿作用に優れ、滋養、鎮静、血糖を下げる効果があり、のぼせや更年期障害の症状の緩和に作用します。
④甘草(かんぞう)
マメ科カンゾウ属植物の根や根茎を乾燥したもので、緊張を緩和させる作用があり、鎮痛・鎮痙、鎮咳効果があります。
のどの痛みや胃痙攣、胃痛に作用したり、他の薬剤の効能を高める作用もあります。
⑤生姜(しょうきょう)
ショウガ科ショウガの根茎で、生のショウガのことをいいます。食欲増進や発汗効果に優れています。
⑥薄荷(はっか)
シソ科ハッカの地上に出ている部分を乾燥したもので、風邪や頭痛、のどの痛み、皮膚のかゆみの改善に使用されます。
セイヨウハッカやミドリハッカは近い植物ですが、生薬ではなくハーブとして使用されています。
逍遥散と加味逍遥散は何が違うの?
逍遥散と似たようなもので加味逍遥散というものがあります。
人によっては逍遥散よりも加味逍遥散のほうが聞いたことあるという方も多いのではないでしょうか?
加味逍遥散とは、逍遥散に配合されている生薬のほかに
- 牡丹皮(ぼたんぴ)
- 山梔子(さんしし)
が配合されたものです。
牡丹皮はボタン科ボタンの根を乾燥させたもので、熱を冷まし効果や鎮静、鎮痛作用があります。
一方で山梔子は、アカネ科クチナシの果実を乾燥したもので、消炎、清熱作用があるのでのぼせやイライラ、不眠に使用されます。
加味逍遥散には「熱」を冷ます効果があるので、逍遥散の症状に「熱」を伴う場合にこの加味逍遥散が処方されます。
ちなみにこの「熱」とは体温ではなく
- 起こりやすくなる
- 尿の色が濃くなる
- 口が乾く
- のぼせる
- 汗をかく
- 目が充血する
など熱のような感じで起こる症状のことをいいます。
この熱を感じるときは加味逍遥散を、熱を感じない、または熱が解消したときには逍遥散を使うというように使い分けます。
逍遥散の副作用を確認しておこう
逍遥散の副作用は、漢方の記事で何回も紹介している通り
- 偽アルドステロン症
- ミオパチー
- 肝機能障害
- 間質性肺炎
重篤な副作用であげられますが、これらは稀に起こるものなので過度に心配する必要は必要はありません。
その他には、発疹、痒み、吐き気、嘔吐、食欲不振といった症状が報告されています。
もし服用して少しでもおかしいなと思ったら、服用を中止して医師の診察を受けてください。
また副作用のリスクを減らすためには、普段から胃腸が弱い、今で薬で発疹や痒みが出たことがある、普段から薬を服用しているという方は必ず医師に伝えましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は逍遥散について紹介してきました。
逍遥散は「熱」がない時の月経困難症や更年期障害の症状緩和などに効果を発揮することがわかりました。
熱を伴う場合は「加味逍遥散」です。
ぜひ処方されたときは医師の指示に従って正しく服用しましょう。