茯苓飲合半夏厚朴湯はどんな漢方薬なの?気になる効果効能・副作用について
茯苓飲合半夏厚朴湯は、天然の生薬を組み合わせて作られています。
今の医療は、西洋医学が中心なので、天然の生薬から作られていると聞くと、西洋薬ほど効果がないように聞こえてしまう人もいるようです。
ですが、近年、漢方薬の生薬から抽出した成分を元にして、新しい薬を開発する向きがあるように、漢方薬の効果や効能は科学的にも十分裏付けされています。
今回のテーマである茯苓飲合半夏厚朴湯も同じです。
そこで、茯苓飲合半夏厚朴湯の効果効能や副作用、そして安全に茯苓飲合半夏厚朴湯を使うための注意点などについて解説します。
茯苓飲合半夏厚朴湯とは?
茯苓飲合半夏厚朴湯は、「ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ」と読む漢方薬で、製品番号は116番です。
とても長い名称で舌を噛みそうになりますが、茯苓飲と半夏厚朴湯を組み合わせて作られたためにこのような名前になっています。
茯苓飲合半夏厚朴湯の性状
茯苓飲合半夏厚朴湯は、1包あたり2.5[g]の粉薬です。
淡い灰褐色で、独特のにおいがします。
漢方薬は天然生薬から作られている関係で、製剤ごとに色味の違いがあることもあります。
茯苓飲合半夏厚朴湯も同じで、多少色調に違いがあるかもしれませんが、効果効能には影響ありません。
わずかに渋い味がします。
茯苓飲合半夏厚朴湯の生薬
茯苓飲合半夏厚朴湯は、『半夏(ハンゲ)』『茯苓(ブクリョウ)』『蒼朮(ソウジュツ)』『厚朴(コウボク)』『陳皮(チンピ)』『人参(ニンジン)』『蘇葉(ソヨウ)』『枳実(キジツ)』『生姜(ショウキョウ)』の9種類の生薬で作られています。
生薬 | 1包2.5[g]あたりの含有量 |
---|---|
半夏(ハンゲ) | 2.0[g] |
茯苓(ブクリョウ) | 1.67[g] |
蒼朮(ソウジュツ) | 1.33[g] |
厚朴(コウボク) | 1.0[g] |
陳皮(チンピ) | 1.0[g] |
人参(ニンジン) | 1.0[g] |
蘇葉(ソヨウ) | 0.67[g] |
枳実(キジツ) | 0.5[g] |
生姜(ショウキョウ) | 0.33[g] |
半夏(ハンゲ)
:吐き気を抑え、たんを出にくくする効果
茯苓(ブクリョウ)
:おしっこを出しやすくする効果
滋養強壮の効果
血糖値を下げる効果
蒼朮(ソウジュツ)
:胃腸の調子を整える効果
おしっこを出しやすくする効果
汗をかきやすくする効果
厚朴(コウボク)
:胃腸の働きを良くする効果
痛みや痙攣を抑える効果
胃潰瘍を起こしにくくする効果
緊張を解きほぐす効果
陳皮(チンピ)
:胃の働きを良くする効果
吐き気を抑える効果
咳止めの効果
人参(ニンジン)
:胃腸の働きを良くする効果
痛み止めの効果
たんを出にくくする効果
蘇葉(ソヨウ)
:汗をかきやすくする効果
熱を冷ます効果
咳を抑える効果
痛み止めの効果
気持ちを落ち着かせる効果
おしっこを出しやすくする効果
枳実(キジツ)
:胃腸の働きを良くする効果
たんを出にくくする効果
お腹のつかえを取り除く効果
便を出しやすくする効果
生姜(ショウキョウ)
:胃腸の働きを良くする効果
汗をかきやすくする効果
熱を冷ます効果
茯苓飲合半夏厚朴湯の証
漢方医学で、漢方薬を処方するために大切なのが『証』です。
『証』は、漢方医学における診断法といってもいいかもしれません。
現代のようにいろいろな検査法がなかった時代では、漢方医は自身の経験に基づいて『証』を判断していました。
『証』は、『虚実』『陰陽』の2種類あります。
簡単にいうと、『虚実』は体力が充実度あい、『陰陽』は身体の熱さを示しています。
体力が充実した状態が『実』で、虚弱で体力が低下した状態が『虚』です。
そして、外部からの刺激に応じて身体がほてりやすい状態を『陽』、反対に冷え性になりやすい状態を『陰』としています。
茯苓飲合半夏厚朴湯の『証』は、『虚』『少陽』なので、虚弱体質で、寒気を感じるようなほてりのある人に用いられる漢方薬であることがわかります。
茯苓飲合半夏厚朴湯の効果・効能および副作用
茯苓飲合半夏厚朴湯は、胃腸炎や気分が沈む、つわり、精神的な原因による胃炎、胃もたれ、みぞおちのつかえ感などに効果があります。
茯苓飲合半夏厚朴湯の服用開始から3週間くらいで、多くの人は効果が感じられるようになります。
もし1ヶ月程度服用し続けても、効果を実感できないようなら、医師や薬剤師に一度相談してみてください。
主な副作用としては、皮膚の発疹(ブツブツ)やじんましんがあげられます。
茯苓飲合半夏厚朴湯の飲み方
茯苓飲合半夏厚朴湯は、食前もしくは食間(食後2〜3時間後のこと)に服用します。
食後ではないので、間違えないようにしましょう。
服用するときは、水かぬるめのお白湯で飲むようにしましょう。
茯苓飲合半夏厚朴湯の使用上の注意点
茯苓飲合半夏厚朴湯を服用する上で、守らなければならない注意点があります。
副作用を防ぐためにも、必ず守ってください。
飲み忘れた場合
茯苓飲合半夏厚朴湯は、既述したように1日に3回にわけて服用する漢方薬ですが、つい忘れてしまうこともあるでしょう。
飲み忘れた時は、思い出した時にすぐに飲んでいただければいいです。
ただし、次に飲むタイミングが2時間以内に迫っている時は、忘れた回の分は飲まないようにしてください。
中には服用するのを忘れたからといって、次の回で2回分を1度に飲もうという人がいるようですが、この服用方法は副作用の原因になりますから決してしないでください。
茯苓飲合半夏厚朴湯を服用する前に相談したほうがいい場合
次の項目に当てはまる方は、茯苓飲合半夏厚朴湯を服用する前に、一度医師や薬剤師と相談するようにしてください。
- 茯苓飲合半夏厚朴湯やそのほかの薬で、以前にかゆみやじんましんなどのアレルギー症状が現れた経験がある人
- 妊娠中、もしくは授乳中の女性
- 医師から何らかの薬を処方されて治療を受けている人
- 65歳以上の高齢者
- 子ども
他の漢方薬を使っている人は
他にも漢方薬を使っている人は、生薬が重複する可能性があるので、医師や薬剤師に相談してください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、茯苓飲合半夏厚朴湯の効果効能・副作用について紹介してきました。
茯苓飲合半夏厚朴湯は、気分が落ち込んでいる人で、喉のあたりにつかえたような異物感があり、動機やめまい、吐き気、胸やけ、おしっこの量の減少に効果のある漢方薬です。
もし、このような症状に悩んでいる方は、一度、茯苓飲合半夏厚朴湯をお試しになってみてはいかがでしょうか。