漢方薬で血圧を下げる具体的な方法
高血圧は非常に身近な病気で、誰もが患う可能性があります。
そこで今回は高血圧と漢方についてみていきます。
高血圧の人は多い
厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」があるのは知っていますか?
このデータには、高血圧疾患の患者数が記載されていますが
- 男性約445万人
- 女性約568万人
というデータがあります。
総患者数は約1,011万人で2~3人に1人という割合で、高血圧の方がいると言われています。
数値から見てもわかるように、高血圧を患っている方は非常に多いです。
高血圧には種類がある
実は高血圧には2種類あります。その種類を見ていきましょう。
①本態性高血圧
血圧が高くなる原因がわからない高血圧のことを言います。
一次性高血圧とも呼ばれていて、高血圧の患者の約90%がこのタイプと言われています。
この本態性高血圧は生活習慣病とも言われ、肥満、喫煙、ストレス、塩分過多の食事が原因と考えられていたり、遺伝が関係していると考えられています。
②二次性高血圧
二次性高血圧は、本態性高血圧とは違い「原因がはっきりしている」高血圧のことを言います。
高血圧の患者の残りの10%がこの二次性高血圧と言われています。二次性高血圧の原因は以下のようなものが挙げられます。
内分泌性高血圧
体内のホルモンの分泌が上手く行われず、血圧が高くなってしまいます。
腎臓の上にあるホルモン分泌にかかわる副腎に腫瘍が出来る、アルドステロン症やクッシング症候群、さらに褐色細胞腫が原因です。
腎性高血圧
腎臓の病気の腎炎や腎盂腎炎という病気が、腎臓の動脈硬化を起こすことで起こる高血圧のことをいいます。
血管性高血圧
心臓や大動脈のように血管の障害によって起こる高血圧のことを言います。
生まれつき大動脈の一部が狭くなっている、大動脈縮窄症や、大動脈弁に異常が起こる大動脈弁閉鎖不全症が当てはまります。
薬剤誘発性高血圧
持病や病気になったときに服用する薬が原因で起こる高血圧のこと言います。
非ステロイド抗炎症作薬(解熱・鎮痛剤)や喘息・心臓病の薬、うつ病の薬は副作用として血圧を高くすることがわかっています。
高血圧に漢方?
血圧を下げる漢方薬は
「存在しません。」
実は、漢方などの東洋医学には「高血圧」というものがありません。
血圧は数値の高さで判断され、東洋医学では数値で見るという考えがないので、高血圧も存在しないのです。
では東洋学で高血圧はどのように考えられているかというと・・
「血液の流れが滞っている」という症状です。
そのため、体のあらゆる部分に起こる症状が血圧が上がる原因として考えられていて、それを漢方で改善すれば血圧が改善するという考え方になります。
この体の不調とは
・頭痛
・耳鳴り
・肩こり
・動悸
を表します。
漢方は体質改善をしながらその症状を緩和させていくので、即効性はありません。
高血圧に効果的に働く漢方とは?
では高血圧に伴う症状を改善しながら、効果を発揮する漢方を7つ紹介していきます。
①大柴胡湯
高血圧による動悸、肩こり、のぼせ、頭痛、便秘を改善することえ、血圧にもアプローチする漢方薬です。
大柴胡湯は漢方の中で唯一、厚生労働省が「血圧を下げるのに有効」と発表している漢方です。
病院でも処方してもらうことが可能です。
②防風通聖散
高血圧が肥満が原因の場合に効果を発揮します。
肥満による便秘、のぼせ、むくみ、肩こりを解消することで、血圧にも効果があるという考えになります。
その他にも蓄膿症や皮膚炎、ニキビ、湿疹にも効果があります。
③柴胡加竜骨牡蛎湯
高血圧によって、動悸、不安、不眠、神経症、更年期神経性、便秘といった症状が起こる方に使用される漢方です。
鎮静効果があり、上記の症状を緩和していくことで血圧にも効果を発揮します。
④黄連解毒湯
清熱剤と言われている漢方で、ほてりやのぼせを改善したり、イライラや興奮を抑える効果があります。
そのため興奮やイライラを抑えることで、血圧を改善していく効果が期待できます。
⑤釣藤散
血管を拡張する作用がある生薬が配合されている漢方で、動脈硬化の進行の疑いがあるときによく処方されます。
高血圧による、頭痛やめまいを改善する効果も期待できます。
⑥当帰芍薬散
高血圧による、頭痛、耳鳴り、倦怠感を改善する効果があります。
血行を良くする効果やホルモンバランスにも効果を発揮するので、月経不順や、月経困難というように女性にとってかなり味方になる漢方薬です。
⑦桃核承気湯
体の血液が滞っているのを改善する効果のある漢方です。
血圧が高くなるのは、血の巡りが悪いと考えれられていて、それに伴い頭痛やめまい、肩こりが起こりやすいと考えています。
桃核承気湯は血の巡りを良くして、頭痛やめまいを改善しながら血圧に作用する効果があります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は高血圧に効果のある漢方を紹介してきました。
一つ勘違いしないでほしいのは、漢方が直接血圧を下げるのではなく、高血圧によって起こる症状を改善しながら、血圧の上昇を抑えるということです。
やはり、血圧を下げるには降圧剤を飲むことが重要になります。
しかし体質を改善しながら、血圧をコントロールすることができるので、気になっていた方はぜひ医師と相談しながら服用を検討しましょう。