しつこいニキビに悩まされていませんか?
顔にニキビができると、女性の場合だとメイクの妨げになったり、人と会うときに気になって会話に集中できない、ということがあります。
ニキビが悪化すると、熱や痛みがある場合もありますし、跡にならないよう、早く治したいものです。
ここでは、皮膚を洗ったり、塗り薬の使用だけでは良くならない場合におすすめの漢方薬「十味敗毒湯」をご紹介します。
十味敗毒湯はどんな漢方薬?
十味敗毒湯という漢方薬は、なんと、日本人が考案したものです。
中国の古典書に載っている「荊防敗毒散(ケイボウハイドクサン)」という処方をもとに、世界で初めて乳がんの麻酔手術を行った江戸時代の外科医、『華岡青洲』によりつくりだされました。
名前のとおり、10種類の生薬が毒素を取り除く処方となっています。そんな、十味敗毒湯について具体的に見ていきましょう。
生薬
十味敗毒湯は、以下の生薬の組み合わせで成り立っています。
- 柴胡(サイコ)
- 桔梗(キキョウ)
- 独活(ドッカツ)
- 川芎(センキュウ)
- 荊芥(ケイガイ)
- 防風(ボウフウ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 甘草(カンゾウ)
- 樸樕(ボクソク)または桜皮(オウヒ)
- 生姜(ショウキョウ)
それぞれの生薬の相互作用によって、毒素を取り除く働きがあります。もともとは「十味敗毒散」という名称で、配合されている生薬の構成も少し違っていました。
独活はウコギ科ウドの根の部分ですが、もとは羌活(キョウカツ)というセリ科の根を用いた生薬の代用として配合されています。独活と羌活は、どちらも新陳代謝をよくする働きがあります。
樸樕は、ブナ科のクヌギの樹皮を乾燥したものですが、もとの処方は桜筎(オウジョ)という桜の幹の内側樹皮を用いた生薬でした。
どちらも解毒などの効能があり、市販薬では樸樕が配合されているものと、桜筎の代用である桜皮を配合しているものがあります。
十味敗毒湯の効能効果とは?
化膿をともなうような皮膚の疾患や初期の急性皮膚疾患、じんましん、急性のしっしん、水虫にも効果があります。
また、化膿したり赤く腫れたりしやすい体質を改善するはたらきもあります。
実は、ニキビには「尋常性痤瘡」という、れっきとした病名があるのです。
この尋常性痤瘡について、十味敗毒湯の投薬によりニキビが目に見えて減少し、皮膚の状態が改善されたとの臨床報告もあります。
ただし、利用にあたっては注意すべき点がありますので、確認していきましょう。
副作用や使用上の注意点
十味敗毒湯は、体力が中程度の方向けの漢方薬ですので、虚弱体質の方や高齢の方は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
次のような方も、服用を検討する前に必ず医師または薬剤師、医薬品登録販売者に伝えましょう。
- 以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある
- 妊娠または授乳中
- ほかに薬などを使っている
これらに当てはまらなくとも、甘草は食品にも含まれていることがありますので、取りすぎないよう注意が必要です。
また、市販薬を購入する際には、薬剤師または医薬品登録販売者に相談しましょう。
その〇〇がニキビを悪化させている?
ニキビには、思春期だけでなく、吹き出物といわれる「大人ニキビ」もあります。
また、皮脂腺が多い胸や背中にもできることがあります。
漢方薬の服用と一緒に行うとよい、悪化させないための工夫について、みていきましょう。
ニキビを悪化させる原因とは?
ニキビは、顔や胸、背中などに、皮脂の過剰分泌や菌などが原因でできます。
汚れや皮脂分泌の過剰、皮膚の新陳代謝の低下によって毛穴が詰まることが、初期の症状としてあらわれます。
「白ニキビ」と呼ばれるこの状態をそのままにしておくと、状態は悪化していきます。
毛穴に詰まった皮脂が黒く酸化し、ふたのようになった状態を「黒ニキビ」といいます。
さらに、その皮脂に雑菌が繁殖して毛穴が炎症し、周囲まで腫れる「赤ニキビ」になると、痛みをともなうことがあるのです。
ニキビが悪化する要因は、睡眠不足やストレス、油分の多い食事や甘い物の取り過ぎなどもあります。
そうなる前に、食事や生活習慣で対処できる方法をみていきましょう。
食事でできること
食事はバランス良くとることが重要ですが、ニキビを意識するなら、「油脂」がポイントとなります。
食材に含まれている脂質を避けたほうが良いのはもちろん、揚げたりや焼いたりするより煮物や蒸し物がおすすめです。
チョコレートやアイスクリーム、ケーキなどの甘い物も脂肪分が多いので、注意が必要となります。
脂肪分と糖分は、皮脂を作り出す栄養となるので、甘い物も控えたほうが良いのです。
甘い物が食べたくなったら、洋菓子よりも脂肪分が少ないものが多い、和菓子をおすすめします。
また、ニキビが気になるときに積極的に取り入れるのに「おすすめの食材」としては、以下のものがあります。
- みかんやキウイフルーツ
- クレソン、にらなどの緑黄色野菜
- あずき、黒豆、緑豆などの豆と、納豆や豆腐などの豆加工品
- サーモン、鶏レバーなど
これらの食材に含まれるビタミンの働きにより、ニキビに良いとされるのですが、中医学でもニキビにおすすめの食材とされています。
これらの食材は、中医学の考え方における「清熱」や「解毒」の働きによって、体内の炎症やこもった熱による症状を改善に導き、新陳代謝を促したりします。
見直すべき生活習慣
普段の生活でできることとして、しっかり睡眠をとることをおすすめします。
質の良い睡眠がとれると、成長ホルモンが分泌されるなどして、ニキビだけではなくさまざまな「体に良いこと」もあります。
また、ストレスもニキビの一因となりますが、全くのストレスフリーな生活は無理ですから、リフレッシュできる方法を持つとよいでしょう。
マスクや衣服などの摩擦もニキビの原因となり、悪化の要因にもなりますので、皮膚をきれいにし、衣服なども清潔なものを用いましょう。
十味敗毒湯についてのまとめ
体質的に脂性肌だったり、寝具との摩擦もなかなか避けられないので、ニキビの要因を全てクリアにすることは難しいものです。
ですが、ここで紹介した十味敗毒湯の活用や、なるべく悪化しない方法を取り入れることはできます。
自分に自信が持てなくなったり、外出がおっくうになったりする前に、できる対策をとりながら、きれいなお肌を取り戻しましょう。