5-6月は気温も上がってきて、暑くも寒くもなくちょうど過ごしやすい季節です。
しかし「5月病・6月病」という言葉があるように、なんとなく気持ちが落ち着かない、不安で気分が落ち込む、逆に高揚しすぎてしまうなど、精神的・身体的不調をきたし悩む人が多くなる季節でもあります。
そんな5-6月を快適に過ごせるよう、今回の記事では春から初夏の食養生をご紹介していきます。
食養生とは?
中医学では、昔から季節と食物と身体には密接な関係があると考えられてきました。
そんな中医学では、それぞれの季節や、その時々の身体の状態に対応した食材を取り入れて健康的な体をつくることを、「食養生(しょくようじょう)」と言います。
食養生では、食べるべき食材を摂り、避けるべき食材を摂らない生活を心がけることが大切になります。
5-6月の食養生:ポイントは「気」の巡り
5-6月で気温が上がると、代謝とともに肝臓の機能も活発になります。
その分肝臓にかかる負担が大きくなるので、「肝」が弱り不調を起こしやすい時期でもあります。
中医学では、「肝」は「気」や「血」を巡らせ、骨や筋肉の緊張を維持し、自律神経を安定させる臓器だと考えられています。
そのため、「肝」が弱りやすい時期は、「やる気が出ない」「気分が高揚しすぎる」など精神的に不安定になりやすく、同時に偏頭痛、過敏性腸症候群、生理痛やPMSなども起きやすくなるのです。
不調が大きくなる前に、体の巡りを良くする食材を取り入れることで、上記の不調を予防することができます。
5-6月のおすすめ食材
環境の変化が激しい春は「肝」の機能が落ち、巡りが悪くなります。
そのため、5-6月は、“肝を労わる食材”と“気の巡りを活発にする食材”を取り入れることを意識しましょう。
山菜
①ヨモギ
入浴剤やお灸にも使われているヨモギには熱を生み出す温性の性質があります。
特に冷えが引き起こす痛みの症状を抑えるので、肩こり、腰痛、生理痛に効きます。
春の花粉症で鼻水や涙が出やすい、むくみやすい、身体がだるいという人におすすめの食材です。
②タケノコ
タケノコには気の巡りを正常にする働きがあります。
また、身体にこもった余分な熱を冷ます作用があるので、イライラ、のぼせ、ほてり、目の充血を和らげます。
野菜
①きゅうり
よく知られているようにカリウムを多く含んでおり、むくみを取ったり利尿作用で血圧を下げたりする作用があります。
身体も冷やしてくれるため、気温が徐々に上がってくる季節にぴったり。ただし冷え性の方は食べすぎには注意です。
②タマネギ
滞った気血の巡りを良くする作用があるため、頭痛、お腹の張り、肩こり、肌のくすみを改善に導きます。春に出回る新たまねぎは身が柔らかく生食に向いています。
③セロリ
セロリの独特の香りにはリラックス効果があります。
また、肝にこもった余分な熱を鎮める作用があり、イライラや怒りなどの感情を落ちつかせることができます。
仕事や人間関係にストレスを感じている人は、毎日の食事に取り入れるとよいでしょう。
果物
①イチゴ
セロリと同様、肝にこもった余分な熱を鎮める作用があります。
過剰なストレスが作り出した熱をクールダウンしてくれるため、ストレス性の不眠、頭痛、目の充血、火照りにもおすすめです。
②ビワ
体内に不足している水分を補うのに適した食材です。
身体にこもった余分な熱を鎮めるので、イライラ、発熱、目の充血、火照りを感じるときにもおすすめです。
③ライチ
気の巡りを正常にし、お腹の張り、吐き気にも効く食材です。
ライチをそのまま食べるだけでなく、ライチ紅茶なども良いとされています。
魚介類
①シラス
イワシ類の稚魚の総称で、流通しているほとんどのものがカタクチイワシの稚魚です。
気を補うので、体力不足、疲労回復が見込めます。温性のため、体内の巡りを活発にします。
②アサリ
寒性のあさりは、体内の余分な熱が引き起こす症状の改善に向いています。
特に粘りつく痰や咳止めの作用があるので、治りかけの風邪に良いでしょう。
また、肝に潤いを与えるため、イライラ・情緒不安定や、乾燥肌の症状改善にも有効です。
まとめ
5-6月は過ごしやすい反面、心が乱れる季節です。
「肝を労わる」「気の巡りを活発にする」という2点を意識して食材を選んでみてください。
ポイントを押さえた春の食養生で、春特有の体調不良を乗り切りましょう!