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【5月病・6月病と漢方】原因や症状、予防対策について解説

4月から新生活がスタートし、1-2か月経って慣れてきたころ。

穏やかな陽気で仕事も順調なのに、なぜか気分が沈む、やる気が出ない、身体がだるい……といった経験ありませんか?

もしかしたら、これらの不調は「5月病・6月病」のサインかもしれません。

今回は、5月病・6月病対策の食材や漢方をご紹介していきます。

5月病・6月病とは?


5月病・6月病は「病」とつくものの、医学用語ではありません

5月の連休後の、やる気が出ない状態や不調が「5月病」と総称されています。現代では同じような症状が6月に現れることを「6月病」と呼ぶことも。

まずはこの原因や症状について詳しく見ていきましょう。

春は「肝」に注意

春は、五行では「木」の行、臓器は「肝」に当てはまります。

春の訪れと共に、身体だけでなく植物やウイルスの活動が盛んになるために、解毒作用を担う「肝」の働きが活発に。

「肝」が働きすぎると自律神経が乱れ、イライラ・情緒不安定・気血の巡りが悪くなるなどの症状が出てきます。

そのため、春は「気血の巡りを良くする」「ストレスをためない」「身体を休める」ことが大切です。

5月病・6月病の原因と症状

5月病・6月病の症状は、中医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と考えます

「肝」が、ストレスなどの精神的ダメージを受け、気の巡りが滞り、更にその状態が続くと血液や水分の流れにも影響し、5月病・6月病の諸症状を引き起こします。

5月病・6月病になりやすい性格
  • 真面目、几帳面、優等生タイプの方
  • 完璧主義の方
  • 周囲への気遣いをよくする方
  • 我慢強い方
5月病・6月病の症状

【精神症状】

  • 気分の落ち込み
  • 憂鬱、無気力、無関心、億劫
  • イライラ、不安感、焦燥感
  • 判断力、思考力の低下

【身体症状】

  • だるさ、疲労感
  • 睡眠障害
  • 食欲不振
  • 便秘、下痢、腹痛
  • 頭痛、めまい、吐き気

5月病・6月病の予防対策

「もしかして5月病?6月病?」と感じた時に、まずは基本となる生活習慣を整えましょう。

5月病・6月病は一過性のものですが、不調が強く出ないうちに、規則正しい食事・生活・睡眠・適度な運動を心がけると安心です。

また、漢方薬が有効な場合もあります。5月病・6月病の予防として取り入れたい漢方薬・食事・生活習慣について解説します。

漢方薬でアプローチ

①柴胡加竜骨牡蛎湯
精神疲労が強く、イライラと不安感、体の重さ・だるさが同時にある人に適しています

柴胡・黄芩の疏肝解鬱作用には鎮静・催眠効果があり、自律神経を調節し精神安定の作用があります。

軟便気味、虚弱体質の人にはあまりおすすめできません。

②加味逍遥散
気の巡りを整え、胃腸の働きを活発にする代表的な漢方です。抗ストレス作用があり、のぼせやイライラが強い時に適しています

③開気丸
肝と脾胃をリラックスさせてくれる漢方です。ストレスからくる胃の痛み・炎症や、その他消化器系の疾患の治療に用いられる漢方です。

心身のバランスを整える食養生

症状別におすすめの食材をまとめました。

①やる気がでない、だるい、疲労感、落ち込むなどの症状
体にエネルギーを補う食材を取り入れましょう。

  • 豆腐
  • キノコ
  • 雑穀
  • カボチャ
  • ジャガイモ
  • タマネギ
  • イチゴ

など

②イライラ、情緒不安定などの症状
精神を安定させるためには、巡りをよくする香味野菜を取り入れましょう。

  • シソ
  • ミョウガ
  • ミント
  • レモン
  • トマト
  • セロリ
  • ミツバ
  • 梅干し

など

③下痢、腹痛、吐き気など風邪の引き始め症状
抗菌作用のある食材をとりいれましょう。

  • ニンニク
  • ショウガ
  • ネギ
  • ニラ

など

④肝の働きを助ける食材

  • アサリ
  • シジミ
  • ハマグリ
  • 牡蠣
  • アスパラガス
  • 菜の花
  • タケノコ
  • タラ
  • その他山菜

など

リラックスした時間を作る

ストレスをため込まないように、ゆっくりお風呂に入る、自分の好きなアロマを焚く、ストレッチをするなど、心身ともにリラックスできる時間を設けてみてください。

特にアロマは、本能や感情を支配する脳をダイレクトに刺激して、イライラを鎮めてくれます

アロマオイルやピローミストなど様々な香りの商品があるので、手軽にできるものから始めてみてください。

身体を動かしリフレッシュ

息が弾まない程度の軽い運動を取り入れましょう。エネルギーに満ち溢れている春に体を動かさないでいると、体内に気が停滞して不調が出やすくなります。

激しい運動ではなく、軽いエクササイズやヨガを取り入れると良いでしょう

また、体の凝っている部分をマッサージしたり、伸びをしたりと、冬に溜まった老廃物の排泄を助けてあげると、体が軽くなり疲労感や倦怠感の改善にもつながります。

質の良い睡眠

良質な睡眠がとれると、体も心も回復します。寝る前のちょっとした工夫で睡眠の質はぐっと上がります。

  • 就寝1時間前にはスマートフォンなどはいじらない
  • 就寝時スマートフォンなどは頭から50㎝以上離して寝る(または機内モードにする)
  • 朝起きて日光を浴びる
  • 寝る前のストレッチと温かい飲み物を飲む
  • カフェインを摂りすぎない

まとめ

5月病・6月病は医学的な病名ではありませんが、5-6月に起こりやすい不調や、憂鬱・イライラなどのネガティブな感情の変化には原因があります。

症状が強く出る前に、食事や生活習慣を見直し、時には漢方の力にも頼ってしっかりと予防していきましょう。

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記事執筆・監修

国際中医薬膳師/調理師(ハラール認証)/医薬品登録販売者/フードコーディネーター2級/マスターオーガニックコーディネーター/オーガニックコスメマイスター/加工食品診断士

當房 清香

医薬品登録販売者としてOTC薬(市販薬)を販売する業務に就く傍ら、健康や薬に関する記事ライターとして活動。
調理師やフードコーディネーターの資格を保有し、更にはオーガニック・薬膳・食品添加物に関する資格も持っており、料理研究家。
「自分の未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」
ことを幅広い視点でお伝えしている。
元裁判所書記官であるが、妊娠・出産を機に転身し現在に至る。

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